
ライトノベル作家となるためには書籍化は避けて通れません。
ただ、その実情と工程って案外知られていないものでもあるんですよね。
基本的には出版社から声が掛かった作品を校正していくのですが、電子書籍での個人出版という方法もあります。
といってもそこまで難しい話ではありません。
ライトノベルが書籍化されるまでの具体的な流れを追ってみましょう。
目次
ライトノベルの書籍化
ライトノベルを書籍化するには、主に3パターンの道となっています。
【ライトノベル書籍化の流れ】
- 賞に入選
(入選⇒打ち合わせ⇒校正⇒出版) - ネット投稿作品が人気化
(打診⇒打ち合わせ⇒校正⇒出版) - 電子書籍で個人出版
(データ登録⇒出版)
賞の入選とネット投稿作品の人気化の場合は、出版社とのやり取りで進めることになりますが、電子書籍で個人出版の場合はシンプルです。
ライトノベル新人賞か大賞を受賞
ライトノベル新人賞か大賞を受賞した場合は、ほぼほぼ書籍化前提で話が進みます。
応募作品も、書籍化前提の10万文字程度で仕上げているはずですし、クオリティ的にも問題が無いケースがほとんどでしょう。
また、入選できなくても拾い上げというパターンで書籍化される場合もあります。
【入選からの書籍化】
- 出版社と入選作品を調整
- 校正作業
- 書籍化
多少は追加や修正が入るかもしれませんが、出版社との繋がりがある状態からスタートしますし、書籍化までの流れもスムーズです。
受賞作品の書籍化に関しては担当者とやり取りのみで比較的早くに実現しますし、意外にサクッと書籍化まで進むことでしょう。
小説家になろう(ネット小説サイト)からの書籍化
少し複雑なのは、ネット小説サイトからの書籍化です。
小説家になろうの隆盛で、ネット小説サイトからの書籍化は日々行われているのですが、「はい、このWEB小説を書籍化ね」で終わる話じゃありません。
横書きから縦書き対応にしなければなりませんし、校正作業がなかなかに大変なのがネットからの書籍化です。
ネット小説から書籍化の流れ
基本的には、小説家になろうもカクヨムも書籍化の流れは同じです。
まず書籍化の打診メールが来ます。
メール内容としては、「作品の感想・書籍化の打診・連絡をください」といったもので、これに承諾の返信していけば書籍化の流れがスタートします。
【小説サイトからの書籍化】
- 書籍化打診の連絡
- 打ち合わせ
- 校正作業
- 書籍化
メールと電話連絡までは進み、あとは直接会うかどうかの日時のすり合わせを行いますが、これは近隣かどうかの都合もあるでしょう。(担当者さんと会わずに書籍化される方もいるようです)
実際に会うことになった場合は、担当者さん持ちで食事に行くことになり、ここで具体的な話が聞けるわけです。
ただ、この段階ではお互いの要望や意思の確認というもので、既に契約を交わしているという状態ではありません。
この辺りでイラストの案や絵師さんの候補も伝えてもらえるはずで、書籍化の実感が湧いてくる楽しい時間となるでしょう。
そして、ここからが半年ほどの改稿の戦いの始まりというわけです。
改稿作業
改稿作業で、WEB用に書いていたものを紙媒体用に変えていきます。
誤字脱字はもちろん、適切な表現への直しや、エピソードの削減と追加で、加筆修正修正修正という作業の繰り返しとなっていきます。
後書きやショートストーリーの追加というのも一般的ですね。
まず、WEB用だと横書きと縦書き、さらに改行を詰めていくことになります。
これが意外と作品の感覚が変わっちゃうんですね。
WEB用に読みやすくしていたものが、書籍化でなんだか違和感を感じるかもしれません。
そして、文庫本一冊の10万文字程度の適切な長さで、区切りのいいところでエピソードで終わらせます。
イラストの出来上がり
ライトノベルの書籍化で最もテンションの上がる瞬間がイラストの出来上がりかもしれません。
自分の頭の中の世界に色が着く感覚です。
まずはキャラデザインについて聞かれるはずで、描写されていない部分を伝えることになります。
年齢、性格、髪型、髪色、目の色、身長、体格、服装等々、自分でも想定していなかった部分をどんどんと掘り下げられることでしょう。
そして、キャラデザインのラフ画が出来上がり、カバーイラスト、口絵、挿絵のデザインが決まっていきます。
ちなみに、タイトルロゴは絵師さんとはまた別の方が担当してくれるはずです。
校正作業
そして校正作業です。ここまで来れば書籍化まであと一歩。
ここまではデータ上でのやり取りになるはずですが、ここからは実際に紙に印刷しての確認となります。
印刷されたものが郵送で届くので、実際に手に取って文章を確かめていく流れです。
文章の矛盾点などのチェックも進めていきますが、誤字脱字はゼロにしなければなりません。特にルビが厄介者です。
これらをチェックし終えると、原稿を着払いで返送し「著者校正原稿」として扱われます。
これでやっとの書籍化というわけで、あとは出版社側のお仕事、印刷、製本、配送、宣伝となるわけです。
人気作品になると複数のオファーも
小説家になろう等でブックマーク1万越えをする人気作品ともなると、複数の出版社からの書籍化オファーがある場合もあります。
その場合は、好きなレーベルがあればそれでもいいのですが、ある程度は条件で決めるのがおすすめです。
条件として、「改稿回数」「改題」「印税率」「刊行時期」「初刷り部数」辺りを目安として比較してみるといいでしょう。
電子書籍での個人出版
では最後に、電子書籍での個人出版です。
こちらは出版社には頼らずに自分だけで進めるか、出版代行に数万円を払って進めるかのパターンとなります。
電子書籍の出版費用としては基本無料で、出版代行を使わないのなら特に費用は掛かりません。
なんなら今すぐにでも書籍化して、数日後にはKindleストアにあなたの作品を並べることだってできちゃいます。
電子書籍での個人出版の流れ
まずは電子書籍での個人出版の流れを見てみましょう。
最もメジャーで使うべきAmazon Kindleでの流れです。
【Kindleでの電子書籍出版の流れ】
- 本にする原稿と画像を用意
- Kindle対応のファイル形式に変換
- 各種情報を登録
- データをアップロード
ざっとした流れはこのような感じで、思っていたよりも簡単なのではないでしょうか?
ファイル変換と各種情報の登録が少し難しい面もありますが、やってやれないこともないですし、不安が残るなら出版代行を使えばいいだけです。
実は書籍化って簡単にできちゃうんですね(校正作業は自分でのチェックのみとなりますが)。
電子書籍出版のメリットとデメリット
電子書籍出版と出版社からの書籍化のメリットとデメリットを考えてみましょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
出版社からの書籍化 | 売り出しに宣伝してもらえる 本屋に本を置いてもらえる メディアミックス戦略も |
書籍化までのハードルが高い 印税が10% |
電子書籍で個人出版 | すぐに書籍化できる 印税は70%以上も |
売り出しがセルフプロデュース 表紙やイラストの用意 |
ざっとこのよう感じでしょうか。
やはり書籍化までのハードルが大きく違う分、リターンも違うと考えるのがおすすめです。
ただ、電子書籍の場合は中間マージンがない分、作者への印税が非常に大きいのが魅力です。
そして問題は表紙イラストです。
ライトノベルは表紙と挿絵イラストが売り上げの核と言っても過言ではありませんからね。
表紙イラストを依頼する
出版社とのタッグで書籍化する場合は、イラストレーターを用意してもらえますが、電子書籍出版の場合は自分で探すしかありません。
SNSをやっているイラストレーターの方に依頼をしてみるか、個人間でのイラスト作成サービスを利用することになります。
と言っても、個人間のイラストサービスもかなり優秀でおすすめです。と数千円でプロ並みの絵師さんを見つけることも可能ですのでぜひチェックしてみてください。
【おすすめのイラストサービス】

fa-arrow-circle-rightキンドルの電子書籍出版代行なら「パブフル」
まとめ
ライトノベル書籍化の流れでした。
賞の入選か小説サイトからの抜擢という出版社経由と、電子書籍での個人出版という方法があります。
【ライトノベル書籍化の流れ】
- 賞に入選
(入選⇒打ち合わせ⇒校正⇒出版) - ネット投稿作品が人気化
(打診⇒打ち合わせ⇒校正⇒出版) - 電子書籍で個人出版
(データ登録⇒出版)
出版社経由の場合は、校正がしっかりしている分だけ面倒でもありますが、それもより良い作品のためということですね。
自分の想像が世に出た感動というのは計り知れないものがあるので、ぜひあなたの手で素晴らしい作品を世に送り出してください。