
面白いライトノベルを書く際のポイントのひとつが、キャラの会話の掛け合いです。
魅力的なキャラはセリフから生まれますし、キャラの会話を楽しむことがライトノベルの醍醐味でもあるでしょう。一般小説だとこれはまた違ってくるんですけどね。
地の文での描写は努力でどうにかなる部分があっても、キャラの掛け合いというのはセンスが必要になってくる部分もあるので案外難しいものです。
目次
ラノベ・小説での会話表現の基本ルール
小説での基本的な会話形式は、それなりに読書をされる方ならなんとなくは把握しているかと思います。
「」で囲んで、地の文で描写を入れていくというのが基本ですね。
「ああ、おはよう」
「天気がいいな」
_抜けるような青空はこれ以上ない朝だ。
_その心地のよさに空を見上げると、背中に謎の大きな衝撃。
「うおっ! な、なんだ!」
書くまでもないことかもしれませんが、これが小説での基本会話表現です。地の文の始まりを一字下げすることは忘れないようにしましょう。
「おはよう」のようにセリフの最後には句読点を付けません。
「!」の後ろは、地の文でもセリフでも一字空けるようにしますが、セリフの最後が「!」の場合は一字空けしません。
この基本ルールで、セリフと地の文を織り交ぜていきましょう。
⇒ライトノベル小説の書き方(基本からストーリー作りまで)
同じ人物のセリフ
同じ人物のセリフは原則として、連続で並べてはいけません。
「だがしかし俺はこうとも思うんだ」
これが同じ人物のセリフだとすると読者は混乱してしまいますよね。
と続けて書くか、間に地の文で描写を入れましょう。
_呟き、少し考えた後に思い直す。
「だがしかし俺はこうとも思うんだ」
このような感じで、地の文を挟むと同じ人物のセリフとしても違和感がありませんよね。
同じ人物のセリフは「」で連続で並べるのは止めて、続けて一文にするか、地の文で描写を挟んでください。
会話と地の文のバランス
会話と地の文のバランスは、ネット小説か書籍での縦書きかにもよるのですが、あまりにもセリフばかりを続けるのは読みにくいのでおすすめしません。
適度に地の文で、感情やしぐさや風景などの描写を入れてください。
逆に地の文ばかりでも論文のようになって圧迫感を与えるので、独り言でもセリフを挟み入れるのもいいでしょう。
複数人での会話劇
二人だけの会話なら「」を交互にしていくだけで簡単ですが、三人以上となると人物の区別がしやすいように表現してください。
作者側が把握していたとしても、読者にストレスを与えるようなわかりにくさはおすすめできません。
特徴のない複数人の会話劇だと誰が誰だかわからなくなってしまうので、一人称(自分の呼び方)や二人称(相手の呼び方)や語尾でキャラ差を付けるのが一般的な手法でもあります。
もしくは、セリフの後に地の文で誰のセリフかを描写するのがいいでしょう。ただ、説明ではなく描写をするという点に気を付けてください。
「と、佐藤が言った。続けて鈴木が言う。」では味気なさすぎます。「呟いた佐藤は頭を掻きながら照れていたが、それを受けた鈴木が少し声を荒げる。」のように描写をしてあげると臨場感が出るはずです。
あまり堅苦しく考えずに、わかりやすく書くことを意識してみるのもいいでしょう。
魅力的なラノベキャラは会話から生まれる
漫画だと絵という武器がありますが、小説だと文章描写でそれを表現するしありませんし、挿絵付きのライトノベルでも漫画ほど絵には頼れません。
そこで重要になってくるのは、キャラのセリフと会話ですね。
地の文での外見やしぐさの描写も重要ですが、キャラの魅力の大半はセリフから生まれるはずです。
キャラの会話にこそ魂を吹き込んであげましょう。ストーリーの案内役ではなく、ストーリーを色付ける存在としてキャラを際立たせてください。
小説でキャラを立たせるにはセリフと会話文
そして問題は、そうやって魅力的なキャラに見せるかということですが、セリフでキャラを立たせましょう。
そのためにはキャラ同士の会話が重要で、キャラ設定や相性も必要となってきます。
作者の頭の中にキャラ像がしっかりとできていて、キャラが勝手に動き出すぐらいが理想ですね。
まずキャラ設定として、性格や目的はもちろん、趣味や弱点までを設定してあげてください。語尾や一人称(自分の呼び方)に特徴を付けるのも効果的です。


セリフと会話文例
では、二人のキャラで会話例文を作ってみるとしましょう。
「あ、お、おはよう」
_久しぶりに女の子と話した気がする。
_だが、俺は一人でいる方が心地がいいのだ。
これじゃ普通の会話で何も面白くありませんよね。物語もキャラも動きませんから、これを少し尖らせて動かしてみるとします。
「あん? 自由気ままにが俺のモットーだ」
「正直に友達がいないと認めてはどうかしら?」
「ま、それも認めるけどな。いいんだよ、俺はこれで」
「強がっちゃって。私を待っていたと聞きましたが?」
「誰が言ってんだそんなこと!」
これが面白い会話劇かどうかは置いておいて、少しは会話が動いてきたはずです。
ここでヒロインの目的によっては何かに誘うこともできますし、物語を自然に動かすことができますよね。
両方とも特徴のない性格だと凡百な会話にしかなりませんが、キャラ設定のどこかに特徴を入れておくとセリフにも個性が出てきます。
どこかに尖りや残念さ等を入れて、意外性やテンポで会話の面白さを演出していきましょう。


また、3人での会話劇になると、2人がボケ倒す会話をする中、1人がツッコむというのもベタで扱いやすい図式です。
面白いと思った作品を読み返す
ただ作品を読むだけじゃなく、作家側の立場で小説を読んでみると色々な仕掛けが見えてくるはずです。
たくさんの作品を読むことも重要ですが、それよりも面白いと思った作品を何度も読み返す方がおすすめで、創作力を付けるためには作った側の意図を読み取ってみてください。
それがライトノベルや小説ではなく、漫画でもアニメでもいいです。
ライトノベル原作のアニメなら、原作との照らし合わせもできますし、創作の教材としてはこれ以上ないものともなるでしょう。
まとめ
ライトノベルと一般小説では会話表現が少し違う部分もありますが、ライトノベルでは基本さえ押さえておけば、ある程度の表現の自由さが許されているのがいい点です。
魅力的なキャラは設定ではなく会話から生まれますし、キャラの特徴を生かしたセリフの掛け合いで物語を動かしてみましょう。
面白さというのは人それぞれで難しい部分もあるんですけどね。
キャラが操り人形の間は魅力的には映らないので、「ストーリーではなくキャラを動かす」ということをぜひ意識してみてください。
・「」と地の文の基本ルールは押さえる
・魅力的なキャラは会話から生まれる
・ボケとツッコミを意識