響-HIBIKI-映画感想と原作漫画との違い

「全然つまらなかったわよ」

と響風に真っすぐな酷評をしてみたかったのですが、

「この映画好き」

かわいい方の響になりました。

右の棚入りです。

いやあ、映画「響-HIBIKI-」面白かったです。

原作漫画を読んでいるかどうかで、感想もまた違うものとなると思うんですけどね。

狂気に近い真っすぐさ

を映画初出演かつ初主演の平手友梨奈さんが、見事に演じきったというのがポイントのひとつでしょう。

平手さんソロの主題歌にも震えましたし、ラストまで仕掛けが効いていて余韻までが最高でした。

関連映画「響」主題歌コメント

そして、

天才と接した人々の生き方の変化

これも「響」の魅力のひとつですね。

題材は小説が中心でもありますが、響の大きなテーマは「正直な生き方」でもあると思うんです。

見方によっては、響が自分勝手な人間に映り「面白くない」「不快」となってしまうでしょうし、評価の分かれる作品でもあるでしょう。

そしてテンポが良かった反面、各エピソードの深掘りができていなかったのが惜しい面かもしれませんね。

ではでは、原作漫画との違いを踏まえて、映画響の感想をがつがつと書いていきます。

目次

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映画響-HIBIKI-感想

映画「響」は予告編の通りに、

「文芸界に現れた圧倒的な才能が、周りの生き方をも変えていく」

という原作漫画に忠実なストーリー展開です。

【響の感想】

  • 響が自己中?⇒かっこいいの変化
  • 周りに認められていくカタルシス
  • 自分への疑問も

最初はただの自己中に思える響がだんだんとかっこよくなってくるんですね。

響の真っすぐすぎる言動を見ているうちに、自分は正直に生きているのか、これでいいのかという疑問も生まれてきます。

これは響の言葉に有無を言わせぬ説得力があるからでしょう。

ただ、エピソードがまとまりすぎて少し軽くなっていたのが残念な点でもあります。

テンポがいい分、原作漫画と比べてキャラの関係性が薄く、キャラ心理の動きが少し説得力に欠ける部分だったかもしれません。
関連【響-小説家になる方法-】漫画各巻の感想

映画版はテンポの良さとオリジナル要素

映画版としてのテンポの良さとまとまりを強く感じました。

各エピソードが短くまとまっている上に、オリジナル要素で補完があるので、原作ファンにも間違いなく楽しめるバランスに仕上がっています。

【原作比較の感想】

  • 各エピソードのテンポの良さ
  • 音と動きの臨場感
  • 響の圧倒感

当たり前ですが、音や動きがあると臨場感がかなり増しますね。これは漫画を超えた部分と言っていいでしょう。

初っ端から折れる指や屋上シーンにまんまと引き込まれてしまいました。

本棚の倒れ方や電車の緊迫感もですが、この辺りは映画での見せどころです。

我慢していることを響が壊してくれる

響の見所としては、誰しもが持っている「我慢している部分」を壊してくれるという爽快感です。

「納得できないことををねじ伏せて、相手の生き方すらも変える」

この爽快感に緊迫感が共存しているのも絶妙な点です。

その手段として暴力も使われるので、これを正直なかっこよさのひとつと思えるか、常識外れだと不快に感じるかで響の評価は全く違うものになるはずです。

ただそれも、響の小説が人の心を動かせるという設定の上で成り立っているので、普通に真似をしてもただの異常者で終わってしまうんですけどね。

「天才だから自己表現が許されるのか」

「自分の世界を貫けるから天才なのか」

というのも「響」の訴えかけているテーマのひとつでしょう。

小説を題材としているだけあって、背景には「生き方」という哲学も見え隠れします。

響と平手友梨奈のリンク

「響を演じられるのは平手友梨奈さんしかいなかった」

という作者・柳本さんの言葉がよくわかるハマり具合でした。

特に、屋上から飛び降りるシーンは、CG合成もスタントも無しで平手さん本人がアクションしているということで、これなかなかにすごいことです。

3階の屋上から、しかも背中から飛び降りるんですからね。

見ているこっちがゾクゾクしたほどですし、命綱を着けていたとしてもその恐怖は計り知れない……、と思いきや平手さん的には「全然大丈夫です。楽しかった」とメイキングで語っていて唖然です。まさに響。

これにはスタッフも絶賛だったようで、平手さんと響のリンク具合が窺えますよね。

トータルで見ても全く違和感がなく、そこには間違いなく響がいたと感じる素晴らしさでした。

平手友梨奈ソロの主題歌「角を曲がる」が素晴らしい

映画「響」の余韻を最高のものとしてくれた要因のひとつが、エンドロール中の主題歌「角を曲がる」です。

平手友梨奈さんがソロでの歌い手で、低音の語りの響が徐々に平手友梨奈になっていくような印象も。

【角を曲がる】

  • 作詞:秋元康
  • 作曲:ナスカ
  • 編曲:The Third
  • 歌:平手友梨奈

映画「響」主題歌コメント

響の本音が滲んでいるような歌詞で、エンドロールをあまり見ないタイプの私ですが、これには聞き入ってしまい、少しこみ上げるものすら感じられました。

エンドロール中に席を立つ観客もほとんどいなかったので、同じ心境だったのかもしれません。

むしろ主題歌も本編の一部で、全てはここに繋がる……とまで言うと言い過ぎかもしれませんが、それくらい映画にマッチした主題歌です。

ぜひ一度聞いていただきたい。

欅坂のCDに収録があることを切に望みます。

「自分らしさってなに?」といった語り口調のある曲でした。
ちなみに、映画パンフレットに歌詞が載っているので、ご興味があればぜひご購入ください。

「角を曲がる」と似ている曲としては、あいみょんさんの「生きていたんだよな」です。

お聞きになっていただければ、きっと同意していただけるはず!

映画響と漫画原作キャラとの比較

響役の平手友梨奈さんも期待以上でしたが、他のキャストさんももちろん素晴らしかったです。

まずは響の出演キャストとキャラクターを見てみましょうか。

響-HIBIKI-
出演キャスト キャラクター 役柄
平手友梨奈 鮎喰響 圧倒的な文才を持った女子高生。曲げない信念で手を出してしまうことも多々。
北川景子 花井ふみ 出版社の文芸編集部に勤務する若手女性編集者。
アヤカ・ウィルソン 祖父江凛夏 父は日本を代表する小説家。文芸部部長で自身も小説家を目指す。
板垣瑞生 椿涼太郎 響の幼なじみ。
笠松将 塩崎隆也 文芸部の先輩。
柳楽優弥 田中康平 響と同時に木蓮新人賞を受賞した青年。
吉田栄作 祖父江秋人 凛夏の父。世界的人気作家。
小栗旬 山本春平 芥川賞受賞を目指す青年作家。
北村有起哉 鬼島仁 芥川賞受賞作家。メディア露出も多く、選考委員も。
高嶋政伸 神田正則 「木蓮」編集長。花井ふみの上司。
黒田大輔 大坪正人 小論社の編集者。花井ふみの先輩。
野間口徹 矢野浩明 週刊誌記者。響を追及。
小松和重 藤野弘 山本春平の担当編集者。

映画響公式サイト

出番的には、響(平手友梨奈)がダントツなのはもちろんですが、山本春平(小栗旬)がかなりアツい役どころでした。

リカ(アヤカ・ウィルソン)や鬼島仁(北村有起哉)のキャラ性は原作に忠実だったかな?フリスクぼりぼりはオリジナル要素でしたが。

花井ふみ(北川景子)は原作よりも柔らかく社交的なキャラで優しい印象。

神田編集長(高嶋政伸)はいやらしさというか俗人感が出ていて、いい意味で原作の不気味さは薄れていたかも。

涼太郎(板垣瑞生)タカヤ(笠松将)、祖父江秋人(吉田栄作)は、良くも悪くも原作のアクが無くなって、キャラ性が薄くなったかもしれません。

これはキャラを掘り下げる尺が無かったので仕方がない面でしょう。そこは原作漫画でさらに楽しめる要素ですね。

あとは個人的に柳楽優弥さんのファンということもあり、田中康平は少ない登場ながらも大きな存在感を示してくれました。

漫画原作にはない一般人との絡みのオリジナルシーンもありましたし、そこであのセリフ回しはアドリブだったのだなとわかりさらなる震えです。やっぱ柳楽さん最高。

山本春平役の小栗旬の凄み

そして前述でも触れましたが、小栗旬さん演じる山本春平がかなりアツい役どころです。

前半からの登場で、ラストにも繋がる最重要キャラと言っていいかもしれません。

役どころとしては芥川賞を目指す口下手な作家で、セリフは非常に少ないです。

それでもあの存在感ですから、そこはやはり小栗旬さんのなせる業でしょう。

響と出会うのはラストだけですが、その重みとラストシーンの衝撃は原作以上にも感じます。

ちなみにあの線路のシーンのロケ地は、新潟県今村新田の今村新田コミュニティセンター近くの日本海ひすいラインの踏切です。

参考「響-HIBIKI-」映画ロケ地と撮影場所まとめ【聖地巡礼】

映画では夜のシーンだったので、昼だとまた印象が違いますが、聖地巡礼スポットになるかもしれませんね。

今村新田コミュニティセンターの住所:新潟県糸魚川市今村新田587

漫画原作を楽しめるなら映画「響」はさらに楽しめる

漫画原作を読んでいるなら映画「響」はさらに楽しめるはずです。

ただ、少し物足りない感もあるかもしれません。

特に、映画ではリカを中心とした文芸部仲間との絡みが映画ではほぼ無かったので、その辺りの重みがかなり違ってくるんですね。

響とリカのビンタの応酬や仲直りも見所でしたが、リカ達との関係性の深さは漫画原作が上です。

リカとのケンカ中の「親友よ」も観たかったシーンのひとつだったので残念。

「原作ファンなら映画も楽しめる」

「原作ファンだから映画が物足りない」

このどちらもが当てはまる感想で、原作の枠に収まりつつもオリジナル要素で楽しませてくれる作品と言えるでしょう。

そして、

「映画を楽しんだなら原作漫画はさらに楽しめる」

というのは間違いありません。

映画が楽しめた方にはぜひ漫画で響の世界をさらに味わっていただきたい。というか、これから響を楽しめるのが羨ましいくらいです。

映画響は原作漫画何巻まで?

映画響は、電車の賠償請求までということで、原作漫画6巻までとなっています。

第44話で6巻の前半部ですね。

映画の続きを読むのなら6巻からの購入がおすすめです。

ちなみに6巻からは響2年生編で、下級生やライトノベルやアニメの話が絡んできて、さらに面白くなっていきます。

ぜひ映画の続きもご覧になってみてください。

漫画原作と映画響の違い

漫画原作「響~小説家になる方法~」と映画「響-HIBIKI-」の違いを、覚えている範囲で挙げてみます。

【原作漫画と映画の違い】

  • かよがいない
  • 屋上からの飛び降り
  • 花井ふみとの出会い
  • お泊り会兼反省会もなし
  • ゴスロリ衣装が吉野ではなくリカ
  • 別荘編もあっさり
  • 田中康平の電車とホーム
  • 文化祭は無し
  • 四季降る塔の論評で花井ふみの電話
  • マスコミ矢野記者の役どころ
  • 動物園でのリカとのオリジナルエピソード
  • ディスティニーランドは無し
  • 田中康平と一般人の絡み
  • 鬼島仁のコートエピソード

違いがかなりありますが、エピソードが無いことがマイナスとは限りません。

エピソードがまとめられているからこそのオリジナルのプラス要素も多いです。

かよがいない

まず、かよがいないことによって全体的な流れがかなり違っています。

というか文芸部絡みが薄く、タカヤも普通にいい人でした。好感度の高いタカヤが新鮮。

花井ふみの出会いもすんなりで、かよに制服を借りるシーンがあれば……。

あのエピソードは、そこまでして響に思い入れる花井ふみの情熱という面もあったんですけどね。

響と花井ふみが出会うまではかなりまとめられているので、テンポの良さにも繋がっているのですが。

吉野桔梗エピソードは無し

吉野桔梗がいないことから、ゴスロリ衣装はリカからのプレゼントということになっています。

もちろん原宿編も無し。

「私の所に嫁にきて」は最高なんですけどね。んー、このエピソードも見たかった。

というか、吉野桔梗無しでも面白く成り立つということに漫画原作と映画のすごさを感じます。

別荘編もあっさり

祖父江家の別荘編もあっさりめです。

ナンパもないですし、かよもいないのでタカヤの恋愛絡みもありません。

ただ、砂に埋まる平手さんキャロい。

読んでた文庫本は「異邦人」だったかな?

四季降る塔で花井ふみの電話がない

響とリカの四季降る塔の論評で、花井ふみからの電話が無く、リカの本音が出ないのがちょっともったいなかったです。

「言いたいこと言う。でも私のこと嫌わないで」の名シーンを見たかった。

動物園とディスティニーランド

さすがにディスティニーランドは登場しませんでした。

代わりにスカイツリーコールが◎

動物園でのリカとの語りはかなり良いオリジナル要素です。

「おかえり」

って、普通の言葉ですが響が言うからもう。ずるい。

響が文芸部にバレるのも早く、これは尺的に正解でしょう。すんなりと進む爽快感でもあります。

会見エピソード

そして芥川賞直木賞の会見エピソードはかなり違う点です。

鬼島さんにコートを借りるエピソードも入れてほしかったのですが、記者がしぶとい。しかし響も原作以上。

記者の追い込みが緩かったのもここに繋げるためということでした。マスコミうざすぎですけどね。

映画響感想まとめ

映画「響-HIBKI-」の感想でした。

人々の生き方を変えるほどの圧倒的な天才」という爽快感と、その真っすぐすぎる直情が生み出す緊迫感が面白さの核です。

その原作をなぞりながらもまた、オリジナルとして仕上がっている映画版の良さをぜひご覧になってみてください。

削れたエピソードも多いですが、その分、原作ファンにも未読の方にもおすすめできる一作に仕上がっています。

からの原作を読むとさらなる味わいですね。永遠ループ。

というわけで、漫画1巻から響を読み直す私でした。

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