
面白いライトノベルの書き方のポイントは意外にシンプルです。
魅力的なキャラと爽快感のあるストーリーがあれば、もうそれだけで面白いといっても過言ではありません。
そして練った世界観やこなれた文章力で底上げというわけですね。
今回は面白いライトノベルの書き方について順々に見てましょう。
目次
面白いライトノベルの書き方
趣味嗜好はそれぞれなので、何をもって面白いライトノベルとするかは難しいのですが、ある程度は共通点があります。
そして、一般小説とライトノベルで特に異なるのは「ストレスを少なく、快感を多く」という部分です。
【面白いライトノベルの書き方ポイント】
- 魅力的なキャラ
- 感情移入しやすい設定
- 盛り上がるストーリー
- 練られた構成
- こなれた文章力
面白さを構成する要素は、世界観、キャラの魅力、ストーリーの運び方、文章力から成り立ちます。
文章力というのはすぐにどうこうなる問題でもないかもしれませんが、設定やストーリーの動かし方はコツさえ掴めばある程度の水準は達成できるはずです。
導入部からの面白さを意識して、ラストにしっかりとした盛り上げと落としどころを持っていってください。
出版社の小説評価基準
では、出版社側からの小説評価基準も見てみましょう。
プロの目から見た場合、面白さのポイントがどこにあるかというのが一番手っ取り早いですからね。
例えば、MF文庫J新人賞の選考シートの評価ポイントのサンプルです。
カテゴリー | 評価ポイント |
---|---|
キャラクター |
|
ストーリー |
|
世界観・アイデア |
|
構成力 |
|
文章力 |
|
これらが5段階評価で点数付けされ、受賞作品が決められていきます。
もうこの評価ポイントを見れば一目瞭然でもありますよね。
ざっくり言うと、面白くて読みやすい物語ということですが、魅力的なキャラと世界観をベースに、しっかりとした文章力で構成するということになります。
面白いと思った既存の作品を参考にしつつ、オリジナル要素を盛り込んでいくのも一つの手法でしょう。
そしてあなたが好きで得意な世界ほど面白くて深い作品を書けるはずです。
ライトノベルは主人公の活躍で爽快感を
ライトノベルは、まず何と言っても爽快感です。
一般小説はストレスを与え続けて、ラストですっと解決のような手法も見受けられますが、ライトノベルはそれだとなかなか受け入れられにくいです。
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爽快感を与える簡単な方法は、「主人公を活躍させる」ということです。
序盤から主人公を活躍させてさせまくる。これくらいでちょうどいいと思います。
かと言って、周りがマイナスで主人公を持ち上げるのは薄っぺらくなってしまいます。周りのキャラも生かしつつ、主人公を活躍させるというのがポイントです。
世界観設定はテンプレに学ぶ
ライトノベルの世界観において、面白い設定はテンプレでできあがっていることも多いです。
異世界なんて顕著ですよね。
【異世界テンプレの優秀さ】
- 現実世界の流れで感情移入しやすい
- 現実逃避で快感が得られる
- 現実描写での簡単さ
現実世界から、異世界(ゲーム世界)に転生(転移)することで、簡単に感情移入することができます。
ラノベ異世界テンプレの優秀さ
ラノベで出来上がった異世界テンプレは、感情移入のしやすさ、主人公無双の爽快感、現実世界に例えた描写の簡単さの三拍子が揃っています。
感情移入と爽快感については、現実世界の自分から、そのまま異世界での活躍という妄想をすっぽりと叶えることができますよね。
描写の簡単さというのは、主人公が現実世界の知識を持っているので、「冷蔵庫のような」「スマホのような」という比喩が簡単に使えることです。
情景描写において、これほど楽なことはありません。(味気がないので、描写を楽しむ一般小説では好まれないのですが)
面白い設定に困ったら、異世界テンプレものを書くというのも正解のひとつです。
面白い世界観は得意なものを書く
面白い世界観をオリジナルでイチから作りあげることは、はっきり言って難しいです。これは人それぞれですし、流行り廃りもありますからね。
定番の要素にオリジナル要素を加えていくのが、面白い世界観作りのポイントです。
【面白い世界観を書くポイント】
- 定番にオリジナル要素を加える
- 好きで詳しい世界を
- 流行りのジャンルならなおよし
面白い世界観を描くには自分が好きなものを書くというのが前提です。
ファンタジーや魔法が好きなのに、恋愛ものや歴史戦争ものを書けといわれても筆が乗らないはずですし、なんとか書いたとしてもクオリティが上がらないのは間違いないですよね。
好きなもの、詳しいものを書くというのが面白い世界観を書く基本です。
あまりにも需要がないジャンルはさすがに厳しいですが、他の人には書けない深掘りを目指すことで輝く作品を作り出せるはずです。
好きなこと、得意なこと、経験したことを軸に物語を作り出してみてください。
そして、面白い作品を作るちょっとしたコツとしては、魅力的なキャラを書くということをぜひ意識してください。キャラの延長上で世界観ができあがるといってもいいでしょう。
魅力的なキャラを描くと面白くなる
小説だけではなく、漫画でも「ストーリではなくキャラを描け」と言われるほどキャラは重要です。
特に、ライトノベルはキャラが命といってもいいでしょう。
ストーリーはペラペラなのに、なぜか人気のある作品って意外にたくさんあると思いませんか?
これは、決してまぐれ当たりをしたわけではなく、キャラに魅力があるからヒットするべくしてヒットしたのです。
それくらい魅力的なキャラは重要なので、まずはキャラをしっかりと作り上げましょう。
魅力的なキャラを描くためには?
キャラも生きています。生きていないキャラは、作者の操り人形です。
「あー、この会話って作者が説明させたいからさせてるんだな」って思ったことありませんか?
これはキャラが生きていないという原因が大きいです。
【魅力的なキャラ】
- 作品の中で生きている
- 表面設定だけではなく裏設定を
- マイナス面やギャップも重要
一般小説はストーリーの謎中心で楽しむこともできますが、ライトノベルだとキャラの魅力ありきです。キャラに背景を持たせましょう。
目的、思想、喜ぶこと、嫌がること、誰と繋がっているか、裏ではどんなことを考えているか等々を設定していってください。
動き出したキャラが想定と違う動きをしだすぐらいでちょうどいいかもしれません。
ギャップも重要で、無口だけど愛情深い、真面目だけどドジ、クールだけど負けず嫌い、熱血だけど本番に弱い、強いけど甘いもの好き等々なんでもいいです。
プラスだけではなく、マイナスも設定することでキャラに立体感が出ます。そして、立体感のあるキャラには厚みと魅力が出ます。
思想を持たせることで、仲間だったキャラが実は別のことも考えて同行していた、さらにはスパイだったなんて深みも出せるでしょう。
それぞれのキャラが生きていれば葛藤のひとつやふたつは抱えているはずです。
操り人形ではなく、ストーリーの中で生きているキャラを作ってあげてください。
口調でキャラ付け
キャラ付けは、漫画だとビジュアル設定ができますが、ライトノベル・小説だと口調面が大きいです。
【口調でキャラ付け】
- 自分と相手の呼び方
- 口調
- 語尾
描写で身体的特徴や服装を書くことも特徴の描き方のひとつですが、やはり頻度から言うと口調でしょう。
クール、無口、熱血、後輩、生意気、お嬢様、お調子者、明るい、暗い、などなど様々ですが、セリフ口調でこれらを表していくことになります。
一人称で特徴も出しやすいです。「僕」「俺」「私」「アタシ」「わっち」「余」「我」「わし」「あっし」「俺様」「わらわ」等々、自分の呼び方でキャラ付けするのもいいでしょう。
もちろん語尾もですね。「だ」「です」「なのです」「ですわね」「だっちゃ」「でっしゃろ」「ありんす」「じゃ」「でございます」「だわさ」等々、一人称とセットにもなりやすいですが、語尾でもキャラ付けしてみてください。
キャラ作りまとめ
なんだか長くなってしまったので、キャラ作りについてまとめておきます。
【キャラ作りまとめ】
- 一人称:僕。俺。私
- 二人称:お前。あなた。あんた
- 語尾:です。じゃ。だの
- 性格:優しい。熱血。クール。
- 二面性:暗い。怒りっぽい。妄想癖
- 趣味:ゲーム。旅行。尾行
- 苦手なこと:異性。虫。狭いところ
- 目的:魔王を倒す。ヒロインと付き合う。復讐する
- 外見:顔。髪。体型
例としては結構適当な感じですが、設定項目としてはこのような感じですね。
まだまだたくさんのキャラ付け方法があるので、ぜひオリジナル要素を組み合わせて魅力的なキャラ作りをしていってください。
プロットと伏線
勢いでライトノベルを書くことも重要ですが、プロットを組んでおくことをおすすめします。
【プロットを作るメリット】
- ストーリーに矛盾が起きにくい
- 伏線も入れやすい
- エピソードを追加しやすい
プロットを書くメリットは多々です。
プロットなしで作品を書きあげている商業作家さんがいらっしゃるのかというぐらいだと思われるので、上を目指すほどにプロットは必須となってきます。
詳しくは、ライトノベル小説の書き方(基本からストーリー作りまで)で書いているのですが、プロットを組んでおくとストーリーを広げやすくなりますし、伏線を入れやすくもなります。
プロットを組んで、伏線を入れる。これだけで物語の質がグッと上がるので、ぜひ取り組んでみてください。
プロット等の書き方の基本についてはこちらもどうぞ。
ネット小説と賞応募作品では見せ場の違いを
同じ作品内容だとしても、ネット小説と賞応募作品では見せ場の持っていき方を変えるべきです。
【ネット小説と公募の違い】
- 全体を見てもらえるか
- 目線が素人玄人か
- 流行りのジャンルの影響も
賞に応募する作品だと10万文字単位のトータルでストーリーを見てもらえますが、ネット小説だと序盤で見切りをつけられてしまうことも多いです。
ネットだと隣に良さそうな作品が山ほどありますからね。爽快感の低そうな作品はわざわざ読んでもらえません。
ネット小説では、冒頭1万字でドカンと見せ場を持ってくるべきで、これからのワクワク感を出すべきです。
また、賞への応募だとトータル面や将来性も考慮してもらえますが、ネット小説だと1話1話(1万字内)が勝負の面もあります。
流行りのジャンルじゃないとみてもらえない面もあるでしょう。
トータル面での面白さを描くのが得意なら、ネット小説サイトへの投稿よりも小説大賞への応募がおすすめです。この辺りは少し使い分けもしてみてください。
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冒頭に見せ場を
ネット小説と書籍共に通じるのは書き出しが重要ということです。いきなり物語に引き込ませるということですね。
序盤、特に第1話、なんなら最初の3行に見せ場を持ってきてください。
「冒頭に死体を転がせ」とも言われるぐらい冒頭は重要です。
逆に、最初から世界観設定をずらずらと並べるのはきついです。世界観を見せるのなら、作品のウリである核心だけにしておきましょう。
魔法なのか、スキルなのか、ステータスなのか、どうやって成長して爽快感を味あわせるかを見せてください。
そこが○○王国の○○地方なんてどうでもいいんです。これは小出しにうまく見せていきましょう。冒頭で長々と説明することではありません。
ストレスフリーも心掛けて
ライトノベル読者層の特徴の一つにストレスを嫌うというものがあります。
【ストレスフリーのポイント】
- 主人公に活躍を
- マイナスがあればそれ以上のプラスを混ぜる
- ストレス展開は引っ張らない
まあ、ストレスが好きな人はラノベ好き以外でも稀だとは思いますが、漫画だとストレス展開からの大逆転でカタルシスって展開も王道じゃないですか。
でも、これ連載が終わるかどうかが不確定なライトノベル(特にネット小説サイト)では、ストレスが上回ってしまうだけともなりがちです。
なので、ストレス展開があるなら早めに終わらせて、爽快感を大きく見せる方が面白い物語となるケースがほとんどなんですね。
なんならストレスゼロの最初から最後まで活躍しっぱなし最高無双俺TUEEE系でもいいでしょう。むしろこれがライトノベルファンタジーの王道ともなってきています(その分、オリジナル要素が無いと食傷気味でもありますが)。
マイナスを絡めてストーリーに谷を作るのもいいのですが、プラスを積み重ねることに重点的に意識を置く方がおすすめです。ストレスよりも爽快感を重視してみてください。
面白い作品を観る
なんだかんだで、面白い世界観や魅力的なキャラを作ることは難しいです。
面白い作品は数多く世に出ていて、イチからのオリジナル設定というのはなかなかに難しいのも現実です。
というわけで、面白い作品を観て参考にしちゃいましょう。
自分が興味のない別角度の刺激を入れるのもいいでしょう。
ライトノベルを書くとしても、映画やドラマもストーリー作りの参考となりますし、漫画やアニメならさらに参考としやすいはずです。
新しいライトノベルのネタを探しにライトノベルを読むと、どうしても横並びになってしまうんですよね。
少し別角度からの刺激を入れてみてください。元々のライトノベル世界の知識と掛け合わせると、グッとオリジナル性と厚みが出ます。
ネタ探しに動画配信サイトがおすすめ
最近では、動画配信も月数百円で見放題ですし、一作品数十円換算で見られるとすれば非常に費用対効果は高いです。
おそらくは漫画や小説の中古本を100円で購入するよりも圧倒的に楽しめることでしょう。
作家さんのネタ作りとして動画配信サイトの利用はかなりおすすめしたい手法のひとつです。
アニメ化したラノベもまとめてあるのでこちらもご参考ください。
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fa-arrow-circle-rightアニメ好きがおすすめ動画配信サイトを比較してみた結果
まとめ
面白いライトノベルの書き方についてでした。
手法はそれぞれですが、爽快感のあるストーリー、魅力的なキャラ、プロットと伏線というのが面白さの軸になってきます。
世にはたくさんの名作もありますし、それぞれの作品から良いところを取り入れて参考とするのもいいでしょう。
ぜひあなたの手で、さらなる名作を世に生み出してみてください。
・魅力的なキャラと爽快感のあるストーリー
・構成力と文章力も磨こう
・ネット小説と賞応募の違いも意識